診療技術
前立腺肥大症
前立腺の部位は膀胱直下にあり、正常の大きさはくるみ大の大きさです。構造は中心部には尿道が通過しており、周囲は皮膜により取り囲まれています。多くの男性は50歳を過ぎると、前立腺の内側部分(内腺)に良性腫瘍(腺腫)が発生します。この子宮筋腫のような良性の腫瘍(腺腫)が大きく成長すると、中心にある尿道が圧迫されて排尿困難が生じます。それが、前立腺肥大症です。
前立腺肥大症が発生すると、主に次のような排尿障害がおこります。
◎ 夜間に何度も排尿の為に起きたり、急に尿意をもよおし何度もトイレにいく。
◎ 尿線が細くなり、尿線の勢いが弱くなる。
◎ 排尿しようと思ってから暫く待たないと尿が出ず、出だしてからは排尿時間が長びき、排尿線が途中で中絶する。
◎ 排尿終了後に尿が少量ずつ滴下したり、膀胱内になお尿が残っている感じがある。
◎ 更には尿はしたいのに排尿できない、知らない間に下着が尿で漏れる事がある。
前立腺肥大の治療
前立腺肥大の治療はまず、薬物療法が第一選択になります。薬物療法としては、膀胱の収縮力を増強させたり、括約筋を弛緩させる薬や、生薬、抗男性ホルモン作用を有する薬を使います。
薬物療法で十分な効果が得られない場合は、次に手術療法を考えます。手術療法には、開腹手術と、内視鏡による手術(経尿道的前立腺切除術TUR-P)があります。
非常に大きな前立腺肥大症を除き、TUR-Pが可能です。TUR-Pは、開腹手術に比べて、侵襲が少なく短期間の入院で済む、非常に有効な治療法です。なお、注意しないといけないことは、前立腺肥大症が進行して、膀胱の収縮機能が廃絶してしまうと、手術療法を行うことができなくなり、治療が難しくなるということがあります。
TUR-Pとは・・・
尿道から内視鏡を入れ、カメラで前立腺を見ながら電気メス(高周波電波)で肥大した内線をかんなで削るように切り取っていく方法です。現在、最も広く行われている手術法です。
手術時間は約30分前後で出血が少ないこと、術後の回復が早いことも特徴です。
上記のような症状のある方は、毎週木曜日の13:30~17:00の泌尿器科外来を一度、受診することをお勧めいたします。泌尿器科専門医が診察手術を担当しております。